山本弘

2014年08月28日

山本弘さんの『プロジェクトぴあの』を読みました。

プロジェクトぴあの
山本 弘
PHP研究所
2014-10-03


プロジェクトぴあの [単行本(ソフトカバー)]


天才科学者、兼トップアイドル。

この設定だけで十分に面白いんですけど、
結城ぴあのはボクらの予想を遥かに超えてきます。

もう、最高にワクワクさせてくれるヒロインでした。

「おぉっ!?」「ぴあの、すっげー!」

読みながら、何度も何度も(深夜に)声を上げました。
アパートのお隣さんに迷惑をかけてないか心配になるレベルです。


ちなみに、同作者の『地球移動作戦』の前日談にあたる作品でもあります。

コチラを先に読んでいたこともあったので、
細かいところでも色々と楽しめました。

とはいえ、『プロジェクトぴあの』単体でも十二分に楽しめます。







「最後のアイドル」である結城ぴあのは、
作中で様々な曲を歌い、溢れる想いを人々にぶつけます。

その中には、実際に存在する曲もいくつか登場しています。


折角なので、作中でぴあのが歌った曲達を、
以下にカンタンにまとめてみました。

ネタバレはしてないつもりですが、自信はありません。



はやぶさ welcome back version


作中、ぴあのが初めて動画サイトに「歌ってみた」をアップロードした曲です。

原曲は、探査機「はやぶさ」の帰還を讃え、2010年6月13日に公開されました。
「はやぶさ」の快挙には、当時の多くの日本人が心打たれました。

私たちだって、ぴあのに負けないくらい、
宇宙に素敵な夢とロマンを見るんです。

2010年の「はやぶさ」は、まさにそういう出来事だったと思います。


dive in the sky


最近のアニメから、『プラネテス』のOP。
人々が宇宙進出を果たした近未来を描いた作品です。

紹介した動画は、「スクリプトアート」と呼ばれる一種の二次創作です。

『プロジェクトぴあの』の裏ストーリーとして、
「表現することの無限の拡がり」みたいなのが描かれてます。

『プロジェクトぴあの』の描く未来の可能性を、
この動画の中にも見ることができます。


スペース1999


70年代のイギリスのSFドラマ『スペース1999』の日本版主題歌。
作中では、すばるお気に入りの1曲です。

最近(2000年代~)のボカロ・アニソンばかりと思いきや、
結構古い曲も歌ってて、ますます結城ぴあのが何者か分からなくなりますw

元々が男性ボーカルの壮大な印象を受ける曲なので、
ぴあのが歌ってる様子がなかなかイメージ出来ないでいますw


君の知らない物語
 

最近のアニソンから、supercellの『君の知らない物語』。
西尾維新さんの『物語』シリーズの楽曲です。
誰もが知ってる、カラオケの定番ソングでもあります。

   「あれがデネブ、アルタイル、ベガ」
   君が指差す夏の大三角 覚えて空を見る

古くは織姫様と彦星様の時代から、
宇宙に輝く星空に、私たちは恋心を重ねてきました。

それも、切なく悲しい恋の物語ばかり。

『プロジェクトぴあの』は、1人と1人の悲しい恋のお話でもありました。


青春の旅立ち


1970年代後半の特撮ドラマ、『宇宙の勇者 スターウルフ』のOPです。

90年代生まれの私にとって、初めて耳にする作品だったのですが、
山本弘さんが10~20代の頃にちょうど観ていたのでしょうか。

アメリカのSF小説、『スターウルフ』シリーズが原作なのですが、
どうやら、シリーズ2作目は偶然にも『さいはてのスターウルフ』ってタイトルらしいです。


サイハテ


ということで、本作で最も重要な意味を持ってくる楽曲、『サイハテ』です。
2008年に、ボカロPの小林オニキス氏によって発表されました。

ちなみに、著者さんのオススメは、
アイマスの春香ちゃんVer.の動画とのこと。


元々は、死別してしまった大切な人を見送る曲でした。
ですが、ぴあのにとっては宇宙の歌でもあります。

どうやら、ニコニコ動画には「サイハテ宇宙派」という方々がいるらしいですw

ぴあのと同じように、『サイハテ』に宇宙を見た方々による、
素敵な動画も数多くアップロードされています。



夢光年


最後の1曲は、影山ヒロノブさんの『夢光年』です。
『宇宙船サジタリウス』のEDとして、1986年に発表されました。

動画をご覧になって頂ければ分かる通り、
震災以降、影山さんが祈りを込めて歌った1曲でもあります。

時代を超えて、多くの人を励ましてきた名曲です。

作中でも、ぴあのの中盤の山場を印象づける1曲となっています。

中盤の「あの」シーンを読み返す際には、
ぜひ、実際の楽曲も併せて聞いてみてください。




以上、結城ぴあのが歌った楽曲たちでした。


でも、個人的にはやっぱり「クリスマスは帰れない」を聞いてみたいです。

山本弘さんとボカロPさんが組んで、
実際に「クリスマスは帰れない」を再現してもらえたなら、
ファン冥利に尽きるのですけれど。


2014年06月08日

シェア <共有>からビジネスを生みだす新戦略 (NHK出版)という本が一昔前に話題になった。

ネット社会の今後を予測した、「フリー」「シェア」「パブリック」の3部作の1冊だ。

恥ずかしながら、 「話題になった」ことは知っていても、
つい昨日まで実際に読んだことはなかった。

なんとなく「ビジネスって胡散臭い」と毛嫌いしてる体質だからかもしれない。


偶然、『シェア』の編集をされてた方の講演を聞く機会があって、
その中で「Sharing Economy」という話が出てきた。


例えば、アメリカの半数以上の家庭は、電気ドリルを持っているらしい。

でも、電気ドリルを使う機会なんて数年に一度。
ほとんどの場合、一度使ったら物置でホコリを被ったまま。

「だったら、みんなで共有すればいいじゃない!」というのが、
『シェア』で語られる、「Sharing Economy」の考え方だ。

「モノ」を減らせるから環境にもいいし、みんなが得をする。


例えば、空き部屋が1部屋あったとして。

そこに(ちょっとした)宿泊料を取って、旅行客を泊まらせたら、
空き部屋を有効活用できるし、双方ともにwin-winだ。



1つのモノを、みんなで共有して使えばいい。

使わないモノ同士を、みんなで交換すればいい。

モノだけじゃなく、知識や時間も共有すればいい。


「シェア」する方が、お財布にも環境にも優しい。
そのうえ、人とのつながりまで産まれる。

コレが「Sharing Economy」の考え方だ。




実は、この話を聞いてボクは既視感を覚えた。

というのも、ボクの大好きな小説の1つが、
『シェア』の世界をそのまま物語にしたようなお話なのだ。
(ちなみに、単行本版は2008年発売。『シェア』よりも早い。)


この小説に出てくる登場人物は、誰もが『シェア』に生きている。

もちろん、『詩羽のいる街』は、小説版『シェア』 で終わる物語じゃない。
他にもいろんな側面を持っているんだけど、それはまた別のお話し。 



「詩羽のいる街」こと、賀来野市では何が起こっているのか?


カーシェアリングや、パソコンの知識の教え合いは当然。

『シェア』に出てくるレンタル農地を実践している人もいて
その農地で作ったネギが、わらしべ長者のごとく交換されていく。

漫画家志望の学生が(30食タダって条件で)レストランの看板を描いたり。

果てには、小学生がトレーディングカードで三角交換を成立させたり。


街中の人が互いに助けあって生きている、善意が流れる街なのだ。 



この街の『シェア』 は、「詩羽」という1人の女性が人と人を繋ぐことで始まった。


「人に親切にすること」が仕事だという詩羽は、

「だって、その方が論理的じゃん」という理由で『シェア』を街中に広げる。


「そんな理想論、実現するはずが無い」と思うかもしれない。

でも、今やSNSによって人と人とが繋がるようになった。


もちろん、詩羽が担保する信頼を、ネットがどう担保するのかって課題は残る。
SNSの「見えざる手」じゃ、詩羽のように鮮やかに人々を繋げられないかもしれない。

だけど、それでも既にいくつかのシェアは実現している。


時代が詩羽に追い付いてきたんだ。



「だから愛とか正義なんて関係ないです。そんなお題目で人間は動かせません。
 協力しあう方は得だって気づかせればいいんです」 



きっとコレが、これから始まるSharing Economyの基本原理になるんだ。

ボクらは、詩羽から学ぶべきことが山ほどある。 



詩羽は現代に実在する。ただしネットの中。

詩羽という女性に惚れ込んでしまったボクには悲しい事実だが、
それはそれで、SF作家である山本弘っぽい。