専門統計調査士

2016年01月10日

データサイエンスが話題になっている昨今、統計検定が徐々に人気を集めています。

当ブログでも、過去2回にわたって統計検定を扱いました。
統計検定2級&統計調査士を受験しました
文系人間がゼロから統計検定2級を取るための最短ルート

おかげさまで、統計検定2級のレビュー記事にはそれなりにアクセス数をいただいてます。

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その後、新たに統計検定準1級専門統計調査士を受験し、合格しました。

統計検定に関しては公式のテキストも発売されているのですが、
統計調査士・専門統計調査士には公式のテキストが存在しません。

かろうじて、以下の過去問・解説集が発売されているのみです。
「基礎知識をどこから仕入れればいいのか?」に、多くの方が混乱されてることと思います。



そこで、今回のブログでは、統計調査士・専門統計調査士の対策・勉強に必要となる
「問題演習の前にやるべきこと」をご紹介していきます。


1)はじめに

統計調査士・専門統計調査士の資格を持っていても、できることは特にありません

統計検定が、主にデータ分析をする数学的能力を見ているのに対して、
統計調査士の場合は、統計データを集めるために調査を企画する能力を見ています。

似たような(ほぼ上位互換の)資格に、社会調査士・専門社会調査士があります。
(専門)社会調査士の資格の場合は、大学で専門課程を終了していなければなりませんが、
(専門)統計調査士の場合はテスト一本で資格取得できるため、強いて言えばお手軽さがpointです。

「社会調査ってなんぞや?」という方は、手始めに以下の本から入ってみましょう。



いわゆる「データサイエンティスト」を目指すための資格ではありませんが、
「統計データにだまされない!」という能力を測るには、統計検定より向いていると思います。


2)出題範囲

統計調査士・専門統計調査士で主に必要なのは、以下の3つの能力です。

a)社会調査に関する知識
b)ある程度の基礎的な統計の知識
c)グラフを読み取る能力

a)社会調査に関する知識では、統計法や調査手法が問われます。
統計調査士では、統計法に関する知識・調査員としての注意点が、
専門統計調査士では、それに加えて社会調査の手法についての知識が問われます。
統計調査士・専門統計調査士ともに、出題のメインとなる部分です。

b)ある程度の基礎的な統計の知識は、「統計」と名がつく以上、避けて通れません。
統計調査士では統計検定3級、専門統計調査士では2級程度の知識があれば余裕です。
3級に必要なのは中学数学(+α)、2級に必要なのは文系の高校数学くらいでしょうか。
実際に細かい計算をする能力は、統計検定ほどは重視されません。

c)グラフを読み取る能力で求められるのは、専門知識よりも思考力です。
大学センター試験の社会科、「現代社会」「地理」あたりに近いかもしれません。
良く言えば教科書を暗記する必要がない、悪く言えば対策の難しいポイントです。
専門統計調査士では、専門的な公的統計・経済統計の知識が一部必要になります。


3)参考書

a)社会調査に関する知識 

統計調査士については、立教大学社会情報教育研究センターが、
サイト上で対策コンテンツを公開していますので、ぜひぜひ活用しましょう。
特に『試験対策コンテンツ』というpdfは必読です。コレさえあれば十分、当ブログは用無しです。
専門統計調査士を受験される方も、ぜひ目を通しておくべきでしょう。

専門統計調査士の対策に必要な、調査手法についての知識は、
「社会調査法」と名のつくテキストを勉強すればほぼカバーできます。

私が使用したのは『入門・社会調査法』というテキストです。
社会調査の役割や種類から、データ収集の方法に至るまで、1冊で広くカバーしています。
特に、近年増加している(そして試験に出題される)インターネット調査やRDD法などにも触れられています。


 
社会調査の教科書としては、盛山和夫先生のものが最も広く読まれています。
上記の『入門・社会調査法』と、こちらの『社会調査法入門』は、どちらを使ってもOKだと思います。


 
その他、最近発売された『社会調査の考え方』という本も。
目次を見る限り、どちらかと言えば社会学の研究者・大学院生向けの本で、
専門社会調査士の受験層とは、やや少しズレているかもしれません。

上記2冊を読んだ、大学(院)の卒論で社会調査を使う、などの方々が、
プラスαのもう1冊として読む際にオススメです。

社会調査の考え方 上
佐藤 郁哉
東京大学出版会
2015-05-30


社会調査の考え方 下
佐藤 郁哉
東京大学出版会
2015-07-17

 
 
b)ある程度の基礎的な統計の知識

統計調査士のためには、『マンガでわかる統計学』などで、
相関とか分散とかの概念について、なんとな~く把握しておくだけでも十分だと思います。

マンガでわかる統計学
高橋 信
オーム社
2004-07





専門統計調査士には、回帰分析やカイ二乗分析など、
統計検定2級に相当する統計手法の問題が何問か出題されます。

以下の2冊は、以前の記事で統計検定2級の勉強のスタートとして薦めたものです。





『よくわかる心理統計』は、知識を得る・概念を理解するための読み物として、
『ごく初歩の~』は、実際に手を動かして手法を身につけるための練習帳として有効です。

この2冊では、一部の手法(特に回帰分析など)について弱いため、
統計検定2級の公式テキストなどで不足分を補ってもいいかもです。

2級公式テキストの内容を理解していなくても、専門統計調査士は合格できると思います。
とはいえ、この内容を理解していると他の受験生に差を付けられるのも事実です。




c)グラフを読み取る能力


統計調査士では、「公的統計の見方と利用」が出題項目の多くを占めています。
受験した際には「難しかった」「時間が足りない」という悲鳴が会場から聞かれましたが、
一方で、周囲といちばん差をつけやすい試験範囲だとも感じました。

とはいえ、これらの問題を解くにあたって、専門的な知識は必要ありません。
問われるのはグラフから適切な情報を読み取る思考力です。

グラフを読みとる際には、グラフの大きく変化している点、他より極端に高い・低い点に着目します。
そして、「なぜ、この年で急激に数字が変化したか?」「なぜ、この地域で数字が高いのかのか?」 など、
グラフの特徴の背景にある理由を考えることがポイントです。

「人口ピラミッドを見ると、ひのえうまの年(1966年)だけ凹んでいる!」とかが一例です。

では、具体的にはどうやってグラフを読み取る思考力を身につけるのか?

正直なところ、「練習あるのみ」だと思っています。
過去問を解きながら解説を読み、分からないところを調べるうちに身につくはずです。たぶん。

特に専門統計調査士の場合は、公的統計・経済統計の用語を参考書でカバーしにくいので、
過去問演習で出会ったたびに解説やgoogle検索でフォローしていくことをオススメします。



統計調査士の場合、グラフの読み取りが占める割合が特に高いため、
社会実情データ図鑑さんを眺めたりして、グラフの感覚を掴んでいると役に立つかもしれません。
あるいは、同サイト著者さんの書かれた、以下の本なんかもグラフを見る練習になると思います。
余談ですが、(専門)統計調査士では、国際比較についてはほとんど(全く?)出題されない気がします。 






4)まとめ

統計調査士、専門統計調査士のそれぞれに分けて、
対策のために勉強すべき参考書を整理してみました。
 
【統計調査士】
a)社会調査に関する知識
 …立教大学さんのpdf資料を熟読する
b)ある程度の基礎的な統計の知識
 …『マンガでわかる統計学』などで、統計の概念を何となくつかむ
c)グラフを読み取る能力 
 …過去問を解いて、解説を熟読。余裕があれば各種データを眺めてみる。

【専門統計調査士】
a)社会調査に関する知識
 …『入門・社会調査法』『社会調査法入門』などに目を通す
b)ある程度の基礎的な統計の知識
 …『よくわかる心理統計』などで、統計検定2級程度の知識を身に付ける
c)グラフを読み取る能力 
 …過去問を解いて、解説を熟読する。特に分からない用語を調べる癖をつける

「a~cのどこから勉強すればいいか?」の優先順位ですが、どこから始めてもOKです。
はじめに (b)基礎的な統計の知識について軽く学習した後に、
メインとなる(a)社会調査に関する知識をじっくり勉強し、
余裕があったら、過去問演習と並行して、(c)グラフの読み取りの勉強をすればいいのではと思います。 

いずれの資格に関しても、参考書での勉強はそこそこに、
過去問演習を積んでいくことが合格のためには重要だと思います。
ぜひ、教科書を読むだけにとどまらず、実際に問題を解いてみてください。
 

ここで紹介した参考書などは、必ずしも試験範囲の全てを網羅してはいません。
当ブログを参考にしても「成績優秀で合格する」のは困難かもしれません。

しかし、 「どこから勉強すればいいか分からない」という方には、
ひとつの目安として使って頂けるのではないかと思っています。

今後、(専門)統計調査士の受験生が増え、知名度が上がっていくことで、
何かしらメリットのある資格へなっていくことに期待です。はい。