2016年09月22日
新海誠さんの映画『君の名は。』を観てきた。
実のところ、付き合っていた彼女との、『君の名は。』感想トークをきっかけに、
突如として別れ話を切り出され、連絡を拒否されたまま今に至っている。
誰だよ、観たら結婚したくなる作品とか言ってた奴
そういう個人的なトラウマもあって、正直なところ、作品を正当に評価できない。
だから、「ココが良かった!」とかを語るには、どうも気分が乗らない。
----------------------------------
ともあれ、『君の名は。』がここまでの話題作になっていることは、
新海誠ファンの1人として純粋に嬉しく思っている。
もちろん、息を呑むほど綺麗な映像と音楽も魅力のひとつだけれど、
ストーリーだって、登場人物だって、すっごく魅力的だ。
『君の名は。』は、監督・脚本の新海誠さんご自身による小説版と、
もう1冊、加納新太さんという方による外伝小説が出版されている。
外伝小説では、勅使河原や四葉、あるいは三葉の父といった人々に焦点が当てられる。
映画本編に登場するキャラクターや、糸守という舞台を深く掘り下げた作品だ。
本編を十分に楽しんだけど、まだ想いを消化しきれない人にこそ読んで欲しい。
----------------------------------
ところで、外伝小説を執筆した加納新太さんという方。
新海誠作品のノベライズ版は今回で4作目と、半ばお馴染みの方でもある。
秒速5センチメートル one more side [単行本]
ほしのこえ あいのことば/ほしをこえる [単行本]
雲のむこう、約束の場所 [単行本]
普段は(?)、小説家として、漫画やアニメ、TCGのノベライズ版を主に執筆されている。
今回の『君の名は。』では、脚本協力としてスタッフロールにも登場しており、
ただのノベライズ版作者、を超えて、より密に作品にコミットしていたようだ。
加納新太さんが脚本協力で携わっていると知って、
『君の名は。』に感じた、うまく言語化できなかった魅力の1つが腑に落ちた。
世界はイマ、ココ、2人だけでは回らない、ってことだ。
----------------------------------
加納新太さんの魅力が最も発揮されてるのは、
彼のブログ記事 「ドラクエ6」が本当に目指したもの だと、勝手に思っている。
ドラクエ6の世界で「語られなかった謎」、あるいは物語のスキマを、
加納新太さんが想像力をめいっぱい拡げて、推理(ないしは空想)している。
ドラクエ6をプレイしたことのある人だったら、
まずは何も言わずに先のブログ記事を読んでほしい。
当ブログは一刻も早く閉じよう。
加納新太さんが先のブログ記事でやっているのは、
語られなかった物語の空白を想像して、世界の謎を解き明かす、とてもワクワクする作業だ。
このNPCは、どうしてそんな行動をとったのか?
このイベントには、どんなメッセージが込められているのか?
プレイヤーが体験する、もやもやの向こう側を1つ1つ立ち止まっては考えて、
そうした「あ、そうか!」を積み重ねていくことで、自分だけが気づける世界の秘密に迫る。
人生で最初にプレイしたドラクエが6だった私にとっては、
彼が真の姿を明らかにしていくドラクエの世界が、まるで麻薬のような快感だった。
ドラクエ6をプレイしたことがない人には、「何のことやら」かもしれない。
そういう方にも、私の感じた興奮がちょっぴりでも伝われば、それでいい。
彼のドラクエ6ブログに言いようもない快感を覚えた同志諸君には、
「ゲームをする体験」と「ゲームの物語」の関連性について書かれた、
サマルトリアにいかづちの杖
【ドラクエ3】さばきのつえが愛しい
大人になってからプレイするドラクエ4
【ドラクエ・ロト三部作】ローラ姫と精霊ルビスの謎
などのブログ記事も読んで欲しい。ドラクエの世界観への深い愛情を感じる。
残念ながら、新海作品の他は『ハヤテのごとく!』しか知らないけれど、
加納新太さんにノベライズ化される原作は幸せだろうな、と、心から思っている。
----------------------------------
『言の葉の庭』も、『秒速5センチメートル』も、『ほしのこえ』も、
結局のところ、恋に落ちた1組の男女の物語だ。
イマ、ココに2人さえいれば、世界は回る。
雨も、桜も、宇宙人も、みんな背景でしかない。
そういった背景装置を通して2人の感情を描くのが、新海さんの魅力でもある。
けれども、『君の名は。』の世界は、瀧と三葉の2人だけじゃない。
瀧と三葉の2人に焦点を当てながらも、
2人の外側にある関係(それこそ”ムスビ”)を、すっごく大切にしている。
小説版の『言の葉の庭』にも若干似たようなことを感じたけれども、
『君の名は。』はそれ以上に、生きている世界のうえで語られる物語に思えた。
三葉と四葉の父親なんか、最たる例だ。
映画では一切語られなかったけれど、彼には彼の歴史と物語を感じさせる。
もっとチープな例を挙げるならば、「ユキちゃん先生」だろうか。
新海誠さんの前作『言の葉の庭』を知っている人なら、
彼女がなぜ糸守にいるのか、孝雄とはどうなったのか、想像せずにはいられない。
----------------------------------
そして、『君の名は。』の世界の語られない裏側に、
確かな奥行きを与えた原動力こそ、脚本協力の加納新太さんなのかもしれない。
新海さんの広げた世界観が、加納さんの手によって深みを増していく。
それこそ、堀井雄二さんが広げたドラクエの世界観を、
加納さんが想像力豊かに解き明かしていったように。
私には「脚本:新海誠・加納新太」にさえ思える作品だった。
結局のところ、私がトラウマを棚に上げ、ダラダラと長文を書いてる動機は、
『君の名は。』に託けて、ドラクエ記事を紹介したかっただけだったりする。
それでも、 世界の謎を解いていく快感は、癖になる。
そして、『君の名は。』は、これまでの新海作品でいちばん、謎を解きたくなる物語だった。
実のところ、付き合っていた彼女との、『君の名は。』感想トークをきっかけに、
突如として別れ話を切り出され、連絡を拒否されたまま今に至っている。
そういう個人的なトラウマもあって、正直なところ、作品を正当に評価できない。
だから、「ココが良かった!」とかを語るには、どうも気分が乗らない。
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ともあれ、『君の名は。』がここまでの話題作になっていることは、
新海誠ファンの1人として純粋に嬉しく思っている。
もちろん、息を呑むほど綺麗な映像と音楽も魅力のひとつだけれど、
ストーリーだって、登場人物だって、すっごく魅力的だ。
『君の名は。』は、監督・脚本の新海誠さんご自身による小説版と、
もう1冊、加納新太さんという方による外伝小説が出版されている。
外伝小説では、勅使河原や四葉、あるいは三葉の父といった人々に焦点が当てられる。
映画本編に登場するキャラクターや、糸守という舞台を深く掘り下げた作品だ。
本編を十分に楽しんだけど、まだ想いを消化しきれない人にこそ読んで欲しい。
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ところで、外伝小説を執筆した加納新太さんという方。
新海誠作品のノベライズ版は今回で4作目と、半ばお馴染みの方でもある。
秒速5センチメートル one more side [単行本]
ほしのこえ あいのことば/ほしをこえる [単行本]
雲のむこう、約束の場所 [単行本]
普段は(?)、小説家として、漫画やアニメ、TCGのノベライズ版を主に執筆されている。
今回の『君の名は。』では、脚本協力としてスタッフロールにも登場しており、
ただのノベライズ版作者、を超えて、より密に作品にコミットしていたようだ。
加納新太さんが脚本協力で携わっていると知って、
『君の名は。』に感じた、うまく言語化できなかった魅力の1つが腑に落ちた。
世界はイマ、ココ、2人だけでは回らない、ってことだ。
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加納新太さんの魅力が最も発揮されてるのは、
彼のブログ記事 「ドラクエ6」が本当に目指したもの だと、勝手に思っている。
ドラクエ6の世界で「語られなかった謎」、あるいは物語のスキマを、
加納新太さんが想像力をめいっぱい拡げて、推理(ないしは空想)している。
ドラクエ6をプレイしたことのある人だったら、
まずは何も言わずに先のブログ記事を読んでほしい。
当ブログは一刻も早く閉じよう。
加納新太さんが先のブログ記事でやっているのは、
語られなかった物語の空白を想像して、世界の謎を解き明かす、とてもワクワクする作業だ。
このNPCは、どうしてそんな行動をとったのか?
このイベントには、どんなメッセージが込められているのか?
プレイヤーが体験する、もやもやの向こう側を1つ1つ立ち止まっては考えて、
そうした「あ、そうか!」を積み重ねていくことで、自分だけが気づける世界の秘密に迫る。
人生で最初にプレイしたドラクエが6だった私にとっては、
彼が真の姿を明らかにしていくドラクエの世界が、まるで麻薬のような快感だった。
ドラクエ6をプレイしたことがない人には、「何のことやら」かもしれない。
そういう方にも、私の感じた興奮がちょっぴりでも伝われば、それでいい。
彼のドラクエ6ブログに言いようもない快感を覚えた同志諸君には、
「ゲームをする体験」と「ゲームの物語」の関連性について書かれた、
サマルトリアにいかづちの杖
【ドラクエ3】さばきのつえが愛しい
大人になってからプレイするドラクエ4
【ドラクエ・ロト三部作】ローラ姫と精霊ルビスの謎
などのブログ記事も読んで欲しい。ドラクエの世界観への深い愛情を感じる。
残念ながら、新海作品の他は『ハヤテのごとく!』しか知らないけれど、
加納新太さんにノベライズ化される原作は幸せだろうな、と、心から思っている。
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『言の葉の庭』も、『秒速5センチメートル』も、『ほしのこえ』も、
結局のところ、恋に落ちた1組の男女の物語だ。
イマ、ココに2人さえいれば、世界は回る。
雨も、桜も、宇宙人も、みんな背景でしかない。
そういった背景装置を通して2人の感情を描くのが、新海さんの魅力でもある。
けれども、『君の名は。』の世界は、瀧と三葉の2人だけじゃない。
瀧と三葉の2人に焦点を当てながらも、
2人の外側にある関係(それこそ”ムスビ”)を、すっごく大切にしている。
小説版の『言の葉の庭』にも若干似たようなことを感じたけれども、
『君の名は。』はそれ以上に、生きている世界のうえで語られる物語に思えた。
三葉と四葉の父親なんか、最たる例だ。
映画では一切語られなかったけれど、彼には彼の歴史と物語を感じさせる。
もっとチープな例を挙げるならば、「ユキちゃん先生」だろうか。
新海誠さんの前作『言の葉の庭』を知っている人なら、
彼女がなぜ糸守にいるのか、孝雄とはどうなったのか、想像せずにはいられない。
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そして、『君の名は。』の世界の語られない裏側に、
確かな奥行きを与えた原動力こそ、脚本協力の加納新太さんなのかもしれない。
新海さんの広げた世界観が、加納さんの手によって深みを増していく。
それこそ、堀井雄二さんが広げたドラクエの世界観を、
加納さんが想像力豊かに解き明かしていったように。
私には「脚本:新海誠・加納新太」にさえ思える作品だった。
結局のところ、私がトラウマを棚に上げ、ダラダラと長文を書いてる動機は、
『君の名は。』に託けて、ドラクエ記事を紹介したかっただけだったりする。
それでも、 世界の謎を解いていく快感は、癖になる。
そして、『君の名は。』は、これまでの新海作品でいちばん、謎を解きたくなる物語だった。
2016年01月10日
データサイエンスが話題になっている昨今、統計検定が徐々に人気を集めています。
当ブログでも、過去2回にわたって統計検定を扱いました。
統計検定2級&統計調査士を受験しました
文系人間がゼロから統計検定2級を取るための最短ルート
おかげさまで、統計検定2級のレビュー記事にはそれなりにアクセス数をいただいてます。
その後、新たに統計検定準1級、専門統計調査士を受験し、合格しました。
統計検定に関しては公式のテキストも発売されているのですが、
統計調査士・専門統計調査士には公式のテキストが存在しません。
かろうじて、以下の過去問・解説集が発売されているのみです。
「基礎知識をどこから仕入れればいいのか?」に、多くの方が混乱されてることと思います。
そこで、今回のブログでは、統計調査士・専門統計調査士の対策・勉強に必要となる
「問題演習の前にやるべきこと」をご紹介していきます。
1)はじめに
統計調査士・専門統計調査士の資格を持っていても、できることは特にありません。
統計検定が、主にデータ分析をする数学的能力を見ているのに対して、
統計調査士の場合は、統計データを集めるために調査を企画する能力を見ています。
似たような(ほぼ上位互換の)資格に、社会調査士・専門社会調査士があります。
(専門)社会調査士の資格の場合は、大学で専門課程を終了していなければなりませんが、
(専門)統計調査士の場合はテスト一本で資格取得できるため、強いて言えばお手軽さがpointです。
「社会調査ってなんぞや?」という方は、手始めに以下の本から入ってみましょう。
いわゆる「データサイエンティスト」を目指すための資格ではありませんが、
「統計データにだまされない!」という能力を測るには、統計検定より向いていると思います。
2)出題範囲
統計調査士・専門統計調査士で主に必要なのは、以下の3つの能力です。
a)社会調査に関する知識
b)ある程度の基礎的な統計の知識
c)グラフを読み取る能力
a)社会調査に関する知識では、統計法や調査手法が問われます。
統計調査士では、統計法に関する知識・調査員としての注意点が、
専門統計調査士では、それに加えて社会調査の手法についての知識が問われます。
統計調査士・専門統計調査士ともに、出題のメインとなる部分です。
b)ある程度の基礎的な統計の知識は、「統計」と名がつく以上、避けて通れません。
統計調査士では統計検定3級、専門統計調査士では2級程度の知識があれば余裕です。
3級に必要なのは中学数学(+α)、2級に必要なのは文系の高校数学くらいでしょうか。
実際に細かい計算をする能力は、統計検定ほどは重視されません。
c)グラフを読み取る能力で求められるのは、専門知識よりも思考力です。
大学センター試験の社会科、「現代社会」「地理」あたりに近いかもしれません。
良く言えば教科書を暗記する必要がない、悪く言えば対策の難しいポイントです。
専門統計調査士では、専門的な公的統計・経済統計の知識が一部必要になります。
3)参考書
a)社会調査に関する知識
統計調査士については、立教大学社会情報教育研究センターが、
サイト上で対策コンテンツを公開していますので、ぜひぜひ活用しましょう。
特に『試験対策コンテンツ』というpdfは必読です。コレさえあれば十分、当ブログは用無しです。
専門統計調査士を受験される方も、ぜひ目を通しておくべきでしょう。
専門統計調査士の対策に必要な、調査手法についての知識は、
「社会調査法」と名のつくテキストを勉強すればほぼカバーできます。
私が使用したのは『入門・社会調査法』というテキストです。
社会調査の役割や種類から、データ収集の方法に至るまで、1冊で広くカバーしています。
特に、近年増加している(そして試験に出題される)インターネット調査やRDD法などにも触れられています。
社会調査の教科書としては、盛山和夫先生のものが最も広く読まれています。
上記の『入門・社会調査法』と、こちらの『社会調査法入門』は、どちらを使ってもOKだと思います。
その他、最近発売された『社会調査の考え方』という本も。
目次を見る限り、どちらかと言えば社会学の研究者・大学院生向けの本で、
専門社会調査士の受験層とは、やや少しズレているかもしれません。
上記2冊を読んだ、大学(院)の卒論で社会調査を使う、などの方々が、
プラスαのもう1冊として読む際にオススメです。
b)ある程度の基礎的な統計の知識
統計調査士のためには、『マンガでわかる統計学』などで、
相関とか分散とかの概念について、なんとな~く把握しておくだけでも十分だと思います。
専門統計調査士には、回帰分析やカイ二乗分析など、
統計検定2級に相当する統計手法の問題が何問か出題されます。
以下の2冊は、以前の記事で統計検定2級の勉強のスタートとして薦めたものです。
『よくわかる心理統計』は、知識を得る・概念を理解するための読み物として、
『ごく初歩の~』は、実際に手を動かして手法を身につけるための練習帳として有効です。
この2冊では、一部の手法(特に回帰分析など)について弱いため、
統計検定2級の公式テキストなどで不足分を補ってもいいかもです。
2級公式テキストの内容を理解していなくても、専門統計調査士は合格できると思います。
とはいえ、この内容を理解していると他の受験生に差を付けられるのも事実です。
c)グラフを読み取る能力
統計調査士では、「公的統計の見方と利用」が出題項目の多くを占めています。
受験した際には「難しかった」「時間が足りない」という悲鳴が会場から聞かれましたが、
一方で、周囲といちばん差をつけやすい試験範囲だとも感じました。
とはいえ、これらの問題を解くにあたって、専門的な知識は必要ありません。
問われるのはグラフから適切な情報を読み取る思考力です。
グラフを読みとる際には、グラフの大きく変化している点、他より極端に高い・低い点に着目します。
そして、「なぜ、この年で急激に数字が変化したか?」「なぜ、この地域で数字が高いのかのか?」 など、
グラフの特徴の背景にある理由を考えることがポイントです。
「人口ピラミッドを見ると、ひのえうまの年(1966年)だけ凹んでいる!」とかが一例です。
では、具体的にはどうやってグラフを読み取る思考力を身につけるのか?
正直なところ、「練習あるのみ」だと思っています。
過去問を解きながら解説を読み、分からないところを調べるうちに身につくはずです。たぶん。
特に専門統計調査士の場合は、公的統計・経済統計の用語を参考書でカバーしにくいので、
過去問演習で出会ったたびに解説やgoogle検索でフォローしていくことをオススメします。
統計調査士の場合、グラフの読み取りが占める割合が特に高いため、
社会実情データ図鑑さんを眺めたりして、グラフの感覚を掴んでいると役に立つかもしれません。
あるいは、同サイト著者さんの書かれた、以下の本なんかもグラフを見る練習になると思います。
余談ですが、(専門)統計調査士では、国際比較についてはほとんど(全く?)出題されない気がします。
4)まとめ
統計調査士、専門統計調査士のそれぞれに分けて、
対策のために勉強すべき参考書を整理してみました。
【統計調査士】
a)社会調査に関する知識
…立教大学さんのpdf資料を熟読する
b)ある程度の基礎的な統計の知識
…『マンガでわかる統計学』などで、統計の概念を何となくつかむ
c)グラフを読み取る能力
…過去問を解いて、解説を熟読。余裕があれば各種データを眺めてみる。
【専門統計調査士】
a)社会調査に関する知識
…『入門・社会調査法』『社会調査法入門』などに目を通す
b)ある程度の基礎的な統計の知識
…『よくわかる心理統計』などで、統計検定2級程度の知識を身に付ける
c)グラフを読み取る能力
…過去問を解いて、解説を熟読する。特に分からない用語を調べる癖をつける
「a~cのどこから勉強すればいいか?」の優先順位ですが、どこから始めてもOKです。
はじめに (b)基礎的な統計の知識について軽く学習した後に、
メインとなる(a)社会調査に関する知識をじっくり勉強し、
余裕があったら、過去問演習と並行して、(c)グラフの読み取りの勉強をすればいいのではと思います。
いずれの資格に関しても、参考書での勉強はそこそこに、
過去問演習を積んでいくことが合格のためには重要だと思います。
ぜひ、教科書を読むだけにとどまらず、実際に問題を解いてみてください。
ここで紹介した参考書などは、必ずしも試験範囲の全てを網羅してはいません。
当ブログを参考にしても「成績優秀で合格する」のは困難かもしれません。
しかし、 「どこから勉強すればいいか分からない」という方には、
ひとつの目安として使って頂けるのではないかと思っています。
今後、(専門)統計調査士の受験生が増え、知名度が上がっていくことで、
何かしらメリットのある資格へなっていくことに期待です。はい。
当ブログでも、過去2回にわたって統計検定を扱いました。
統計検定2級&統計調査士を受験しました
文系人間がゼロから統計検定2級を取るための最短ルート
おかげさまで、統計検定2級のレビュー記事にはそれなりにアクセス数をいただいてます。
その後、新たに統計検定準1級、専門統計調査士を受験し、合格しました。
統計検定に関しては公式のテキストも発売されているのですが、
統計調査士・専門統計調査士には公式のテキストが存在しません。
かろうじて、以下の過去問・解説集が発売されているのみです。
「基礎知識をどこから仕入れればいいのか?」に、多くの方が混乱されてることと思います。
そこで、今回のブログでは、統計調査士・専門統計調査士の対策・勉強に必要となる
「問題演習の前にやるべきこと」をご紹介していきます。
1)はじめに
統計調査士・専門統計調査士の資格を持っていても、できることは特にありません。
統計検定が、主にデータ分析をする数学的能力を見ているのに対して、
統計調査士の場合は、統計データを集めるために調査を企画する能力を見ています。
似たような(ほぼ上位互換の)資格に、社会調査士・専門社会調査士があります。
(専門)社会調査士の資格の場合は、大学で専門課程を終了していなければなりませんが、
(専門)統計調査士の場合はテスト一本で資格取得できるため、強いて言えばお手軽さがpointです。
「社会調査ってなんぞや?」という方は、手始めに以下の本から入ってみましょう。
いわゆる「データサイエンティスト」を目指すための資格ではありませんが、
「統計データにだまされない!」という能力を測るには、統計検定より向いていると思います。
2)出題範囲
統計調査士・専門統計調査士で主に必要なのは、以下の3つの能力です。
a)社会調査に関する知識
b)ある程度の基礎的な統計の知識
c)グラフを読み取る能力
a)社会調査に関する知識では、統計法や調査手法が問われます。
統計調査士では、統計法に関する知識・調査員としての注意点が、
専門統計調査士では、それに加えて社会調査の手法についての知識が問われます。
統計調査士・専門統計調査士ともに、出題のメインとなる部分です。
b)ある程度の基礎的な統計の知識は、「統計」と名がつく以上、避けて通れません。
統計調査士では統計検定3級、専門統計調査士では2級程度の知識があれば余裕です。
3級に必要なのは中学数学(+α)、2級に必要なのは文系の高校数学くらいでしょうか。
実際に細かい計算をする能力は、統計検定ほどは重視されません。
c)グラフを読み取る能力で求められるのは、専門知識よりも思考力です。
大学センター試験の社会科、「現代社会」「地理」あたりに近いかもしれません。
良く言えば教科書を暗記する必要がない、悪く言えば対策の難しいポイントです。
専門統計調査士では、専門的な公的統計・経済統計の知識が一部必要になります。
3)参考書
a)社会調査に関する知識
統計調査士については、立教大学社会情報教育研究センターが、
サイト上で対策コンテンツを公開していますので、ぜひぜひ活用しましょう。
特に『試験対策コンテンツ』というpdfは必読です。コレさえあれば十分、当ブログは用無しです。
専門統計調査士を受験される方も、ぜひ目を通しておくべきでしょう。
専門統計調査士の対策に必要な、調査手法についての知識は、
「社会調査法」と名のつくテキストを勉強すればほぼカバーできます。
私が使用したのは『入門・社会調査法』というテキストです。
社会調査の役割や種類から、データ収集の方法に至るまで、1冊で広くカバーしています。
特に、近年増加している(そして試験に出題される)インターネット調査やRDD法などにも触れられています。
社会調査の教科書としては、盛山和夫先生のものが最も広く読まれています。
上記の『入門・社会調査法』と、こちらの『社会調査法入門』は、どちらを使ってもOKだと思います。
その他、最近発売された『社会調査の考え方』という本も。
目次を見る限り、どちらかと言えば社会学の研究者・大学院生向けの本で、
専門社会調査士の受験層とは、やや少しズレているかもしれません。
上記2冊を読んだ、大学(院)の卒論で社会調査を使う、などの方々が、
プラスαのもう1冊として読む際にオススメです。
b)ある程度の基礎的な統計の知識
統計調査士のためには、『マンガでわかる統計学』などで、
相関とか分散とかの概念について、なんとな~く把握しておくだけでも十分だと思います。
専門統計調査士には、回帰分析やカイ二乗分析など、
統計検定2級に相当する統計手法の問題が何問か出題されます。
以下の2冊は、以前の記事で統計検定2級の勉強のスタートとして薦めたものです。
『よくわかる心理統計』は、知識を得る・概念を理解するための読み物として、
『ごく初歩の~』は、実際に手を動かして手法を身につけるための練習帳として有効です。
この2冊では、一部の手法(特に回帰分析など)について弱いため、
統計検定2級の公式テキストなどで不足分を補ってもいいかもです。
2級公式テキストの内容を理解していなくても、専門統計調査士は合格できると思います。
とはいえ、この内容を理解していると他の受験生に差を付けられるのも事実です。
c)グラフを読み取る能力
統計調査士では、「公的統計の見方と利用」が出題項目の多くを占めています。
受験した際には「難しかった」「時間が足りない」という悲鳴が会場から聞かれましたが、
一方で、周囲といちばん差をつけやすい試験範囲だとも感じました。
とはいえ、これらの問題を解くにあたって、専門的な知識は必要ありません。
問われるのはグラフから適切な情報を読み取る思考力です。
グラフを読みとる際には、グラフの大きく変化している点、他より極端に高い・低い点に着目します。
そして、「なぜ、この年で急激に数字が変化したか?」「なぜ、この地域で数字が高いのかのか?」 など、
グラフの特徴の背景にある理由を考えることがポイントです。
「人口ピラミッドを見ると、ひのえうまの年(1966年)だけ凹んでいる!」とかが一例です。
では、具体的にはどうやってグラフを読み取る思考力を身につけるのか?
正直なところ、「練習あるのみ」だと思っています。
過去問を解きながら解説を読み、分からないところを調べるうちに身につくはずです。たぶん。
特に専門統計調査士の場合は、公的統計・経済統計の用語を参考書でカバーしにくいので、
過去問演習で出会ったたびに解説やgoogle検索でフォローしていくことをオススメします。
統計調査士の場合、グラフの読み取りが占める割合が特に高いため、
社会実情データ図鑑さんを眺めたりして、グラフの感覚を掴んでいると役に立つかもしれません。
あるいは、同サイト著者さんの書かれた、以下の本なんかもグラフを見る練習になると思います。
余談ですが、(専門)統計調査士では、国際比較についてはほとんど(全く?)出題されない気がします。
4)まとめ
統計調査士、専門統計調査士のそれぞれに分けて、
対策のために勉強すべき参考書を整理してみました。
【統計調査士】
a)社会調査に関する知識
…立教大学さんのpdf資料を熟読する
b)ある程度の基礎的な統計の知識
…『マンガでわかる統計学』などで、統計の概念を何となくつかむ
c)グラフを読み取る能力
…過去問を解いて、解説を熟読。余裕があれば各種データを眺めてみる。
【専門統計調査士】
a)社会調査に関する知識
…『入門・社会調査法』『社会調査法入門』などに目を通す
b)ある程度の基礎的な統計の知識
…『よくわかる心理統計』などで、統計検定2級程度の知識を身に付ける
c)グラフを読み取る能力
…過去問を解いて、解説を熟読する。特に分からない用語を調べる癖をつける
「a~cのどこから勉強すればいいか?」の優先順位ですが、どこから始めてもOKです。
はじめに (b)基礎的な統計の知識について軽く学習した後に、
メインとなる(a)社会調査に関する知識をじっくり勉強し、
余裕があったら、過去問演習と並行して、(c)グラフの読み取りの勉強をすればいいのではと思います。
いずれの資格に関しても、参考書での勉強はそこそこに、
過去問演習を積んでいくことが合格のためには重要だと思います。
ぜひ、教科書を読むだけにとどまらず、実際に問題を解いてみてください。
ここで紹介した参考書などは、必ずしも試験範囲の全てを網羅してはいません。
当ブログを参考にしても「成績優秀で合格する」のは困難かもしれません。
しかし、 「どこから勉強すればいいか分からない」という方には、
ひとつの目安として使って頂けるのではないかと思っています。
今後、(専門)統計調査士の受験生が増え、知名度が上がっていくことで、
何かしらメリットのある資格へなっていくことに期待です。はい。
2015年12月07日
時間つぶしに本屋をうろついていたら、
何処かで見たことのある色使いとタイトルの本に思わず二度見した。
「また二番煎じが出たのか、いい加減飽きたってのに…」などと思ったのだけれど、
どうやら書いたのは『もしドラ』の著者、岩崎夏海さんご本人らしい。
『もしドラ』は、大学受験が終わって帰りの飛行機で読んだ思い出の本だ。
てなわけで、無性に内容が気になって即、買うことを決意。
『もしドラ』の方もつい先月、文庫版が発売されてたらしい。
どうやら完全に『もしイノ』発売の伏線だったようだ。
『イノベーションと企業家精神』は、「いかに競争を生き残っていくか?」の本らしい。
「いかに組織を成功させるか?」を説いた、『マネジメント』とも通じるところがある。
「これからの競争社会にどう立ち向かっていくか?」を考えるにあたって、
2015年も終わろうとしている現在でも、ドラッカーの議論は光を失っていない。
というわけで、『イノベーションと企業家精神』が、今後しばらく売れ続けるのだろう。
私は『マネジメント』を買ったまま未だに積んでるので、多分買わない。
さて、話を『もしイノ』に戻そう。
『もしイノ』の舞台は、『もしドラ』から数年後。
『もしイノ』で登場する野球部の顧問を務める新任教師、北条文乃は、
『もしドラ』で主人公・みなみちゃんの後輩マネージャー、北条文乃その人。
でもって、『もしイノ』の世界では、『もしドラ』がベストセラーとして人気になっている。
『もしイノ』の主人公・夢ちゃんが最初に手に取るのは『もしドラ』だ。ドラッカーじゃない。
……あれ?
という疑問も、『もしイノ』を手に取って読むには十分な理由のひとつだと思う。
私からは一言だけ。
「岩崎夏海っ!てめぇ、まゆゆに謝れっ!」
『もしイノ』は、マネージャーを主役とした野球モノの小説としても十分面白い。
マネージャーの側から野球部の3年間を描いた小説だ。面白くないワケがない。
野球部監督の10年間を描いた、同じく岩崎夏海さんの『エースの系譜』も好きだったりする。
ところで、この時期にブログで『もしイノ』に言及したのにはもう一つ訳がある。
私が毎年楽しみにしているイベントに、日本タイトルだけ大賞というものがある。
その年に出版された本を、内容一切度外視の「タイトルだけ」で評価する爆笑企画だ。
2010年(第2回)には、『もしドラ』も審査員賞を受賞している。
ちょうど今の時期に、2015年ノミネート募集が行われており、
僭越ながら『もしイノ』をノミネート推薦させて頂いた。
とはいえ、二番煎じ的なタイトル本が既に大量生産されてしまってるので、
タイトルだけの観点から「タイミングを完全に見誤った正統派続編」とコメントを添えてTweetした。
のだけれど、どうやらノミネート推薦のTweetが、
(タイトルだけ大賞をご存知でなかった)岩崎夏海さんの関係者に見つかったようで。
のみならず、関係者さんツイートが著者の岩崎夏海さんご本人にまでご丁寧にRTされる始末。
こうなってしまっては、ネットの海のどこかに、
「ちゃんと印税に貢献しました!」アピールをしておかなくてはと思い、この記事を書いた次第。
『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『イノベーションと企業家精神』を読んだら』には、
2015年の日本タイトルだけ大賞でも、ぜひぜひ健闘していただきたい所存である。
おまけ。
2012年の残念賞が、個人的に(タイトルだけ)大ヒットでした。
何処かで見たことのある色使いとタイトルの本に思わず二度見した。
ダイヤモンド社
2015-12-04
どうやら書いたのは『もしドラ』の著者、岩崎夏海さんご本人らしい。
『もしドラ』は、大学受験が終わって帰りの飛行機で読んだ思い出の本だ。
てなわけで、無性に内容が気になって即、買うことを決意。
『もしドラ』の方もつい先月、文庫版が発売されてたらしい。
どうやら完全に『もしイノ』発売の伏線だったようだ。
『イノベーションと企業家精神』は、「いかに競争を生き残っていくか?」の本らしい。
「いかに組織を成功させるか?」を説いた、『マネジメント』とも通じるところがある。
「これからの競争社会にどう立ち向かっていくか?」を考えるにあたって、
2015年も終わろうとしている現在でも、ドラッカーの議論は光を失っていない。
というわけで、『イノベーションと企業家精神』が、今後しばらく売れ続けるのだろう。
私は『マネジメント』を買ったまま未だに積んでるので、多分買わない。
さて、話を『もしイノ』に戻そう。
『もしイノ』の舞台は、『もしドラ』から数年後。
『もしイノ』で登場する野球部の顧問を務める新任教師、北条文乃は、
『もしドラ』で主人公・みなみちゃんの後輩マネージャー、北条文乃その人。
でもって、『もしイノ』の世界では、『もしドラ』がベストセラーとして人気になっている。
『もしイノ』の主人公・夢ちゃんが最初に手に取るのは『もしドラ』だ。ドラッカーじゃない。
……あれ?
という疑問も、『もしイノ』を手に取って読むには十分な理由のひとつだと思う。
私からは一言だけ。
「岩崎夏海っ!てめぇ、まゆゆに謝れっ!」
『もしイノ』は、マネージャーを主役とした野球モノの小説としても十分面白い。
マネージャーの側から野球部の3年間を描いた小説だ。面白くないワケがない。
野球部監督の10年間を描いた、同じく岩崎夏海さんの『エースの系譜』も好きだったりする。
ところで、この時期にブログで『もしイノ』に言及したのにはもう一つ訳がある。
私が毎年楽しみにしているイベントに、日本タイトルだけ大賞というものがある。
その年に出版された本を、内容一切度外視の「タイトルだけ」で評価する爆笑企画だ。
2010年(第2回)には、『もしドラ』も審査員賞を受賞している。
ちょうど今の時期に、2015年ノミネート募集が行われており、
僭越ながら『もしイノ』をノミネート推薦させて頂いた。
とはいえ、二番煎じ的なタイトル本が既に大量生産されてしまってるので、
タイトルだけの観点から「タイミングを完全に見誤った正統派続編」とコメントを添えてTweetした。
のだけれど、どうやらノミネート推薦のTweetが、
(タイトルだけ大賞をご存知でなかった)岩崎夏海さんの関係者に見つかったようで。
タイミングが間違ってるか正しいかは、ぜひ読んでからご確認ください!タイトルだけではなく内容もあります!なんてコメントを(非公式RT)で頂いてしまった。
のみならず、関係者さんツイートが著者の岩崎夏海さんご本人にまでご丁寧にRTされる始末。
こうなってしまっては、ネットの海のどこかに、
「ちゃんと印税に貢献しました!」アピールをしておかなくてはと思い、この記事を書いた次第。
『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『イノベーションと企業家精神』を読んだら』には、
2015年の日本タイトルだけ大賞でも、ぜひぜひ健闘していただきたい所存である。
おまけ。
2012年の残念賞が、個人的に(タイトルだけ)大ヒットでした。